FLOW

混和

グルテンともち米粉を混ぜ合わせ、生麩の生地を作る工程を「混和」と呼びます。グルテンともち米粉の配合が少しでも異なると生麩本来のおいしさを引き出すことができないため、生麩を作る上で最も大切な工程です。
麸秋商店は、保存温度の異なるグルテンと粒子の異なるもち米粉を使用して、商品ごとに配合を変えるのはもちろん、工場の室温や湿度に合わせて配合を変えて製造しています。工場の室温や湿度は常に変化するため、配合のルールをマニュアル化することは難しく、毎日、知識・経験が豊富な熟練の職人が手の感覚でグルテンの状態を確かめながら、もち米粉を配合します。

成型・型入れ

料理を引き立たせる生麩は、味はもちろん、色鮮やかで見た目も美しくなければなりません。「着色」の工程では、混和して出来上がった生麩の生地の状態を職人が確認しながら、理想の色合いとなるように計算して着色料を配合しています。生麩の生地が適切な分量で配合されていない場合、生地が柔らかくなりすぎてしまい、後の工程で均等に引き伸ばすことができなくなるため、成形工程は熟練の職人でもとても神経を使う繊細な作業です。
生地の着色後は、職人がグラデーションの仕上がりを想像して、着色した生地を均一に伸ばしながら木型に入れていきます。麸秋商店には、季節の花などを形どった30種類以上の木型があり、職人が彩り鮮やかで美しい見た目になるよう、色や濃淡の付け方を商品に合わせて変えています。

加熱

木型に入れた生麩を、80度〜90度に調整された釜で茹で上げていきます。グルテンは、温度が上がるにつれて組織が変形して固くなる性質があり、生麩本来の食感を出すためには徹底した温度や時間の管理が必要です。
麸秋商店では、生麩本来のモチモチした食感やなめらかな舌触りを大切にしており、独自の製法でグルテンの配合を増やしているため、他社のものよりもグルテンの組織が変化しやすく、一層繊細な温度や時間管理が求められます。一定の品質の生麩を作るためには、職人が工場の室温に合わせて蒸気温度を適切に調整し、種類ごとに蒸す時間を変えるのはもちろん、生麩の状態を目でしっかりと確認しながら秒単位で蒸す時間を決めていきます。

型出し・冷却殺菌・水切り・凍結

蒸し上がった生麩はまだ柔らかいため、傷つけないよう型から丁寧に取り出し、適切な温度の水の中で30分間かけて冷却殺菌を行います。この冷却殺菌は、余熱によってグルテンが固くなることで生麩の食感や舌触りが失われないようにするだけではなく、菌が最も増殖しやすい温度(至適温度)を素早く通過させるため、高品質な生麩を作り上げることができます。冷却殺菌後、しっかりと水切りを行うとともに製品に傷がついていたり、形が崩れていないかを職人の目で確認します。そして、一番美味しい状態の生麩をお客様の元へ届けできるように、−18度の冷凍庫の中で1日かけて生麩を凍結しています。

梱包・配送

出来上がった生麩は、職人がひとつひとつ丁寧に手作業で梱包をしていきます。彩り鮮やかで形が美しく、おいしい生麩をお客様のもとへお届けするために、徹底した衛生管理はもちろん、生麩の彩りや形などの仕上がりが一定の基準を満たしているかを職人が目で一つひとつ最終確認しながら梱包をしています。また、生麩を初めて食べる方をはじめ、多くの方により美味しく食べていただくために、その生麩に合った調理方法や食べ方を紹介した説明書きも添えています。梱包後は、その日のうちに業務用卸売店舗「麩あき」や一般用小売店舗「なま麩の店 麸秋」、お客様のもとへお届けしています。